古都トレド 1

世界遺産のテレビ番組といえば、TBSが有名です。私も以前は毎週録画をしていました。
今は放映していないのですが、かつてはNHKでも世界遺産の番組をいくつか放映していたのを覚えている方もいらっしゃることかと思います。
その中でもシリーズ世界遺産100は今でも全日空の国際線で楽しめ、飛行機に搭乗した際には見るのを楽しみにしています。
その中でトレドを紹介された時、いつか訪れてみたいと思っていました。
買い付ける物はないだろうと考えていたので、なかなか足を伸ばせませんでしたが、今回仕入れの合間を縫ってきてみる事に。
電車を降り駅を出ると遠くに要塞都市のような古い街並みが目に飛び込んできます。
どこかで見た事があるような景色です。
駅前に何台もいたタクシーはあっという間に列車からの観光客でいっぱいになってしまいました。
私も残っていた最後のタクシーに躊躇なく飛び乗りました。
日帰りでの旅であり、時間が腐るほどにあったバックパッカーの時とは違い、限られた時間を有効に使いましょう。
街を囲むように続く道は登り坂で、街を半周ほどしたところで、橋を渡り、旧市街地へと入っていきます。
細い道はカローラくらいのサイズの車で通ることがやっとの道。
とても大型車は通れそうにもありません。
前に走っていた車が途中の路地に曲がろうとしますが、何度も切り返さないと入れません。
壁にぶつかりそうになると、私の乗っていたタクシーの運転手がクラクションを鳴らしてあげます。
私も車の運転には慣れた方ですが、
『ここでは運転はしたくないなぁ〜』
言葉が自然と漏れます。
曲がり終えるのを待ち、さらに登っていくと、前が開け、広場に着きました。
その前には巨大な大聖堂がそびえ立っています。
ここがテレビで目にしていた、あのサンタ・マリア・デ・トレド大聖堂です。
タクシーを降り、見上げます。
近くにいた団体観光客たちの流れに乗り、入り口を探します。
壁面に沿って時計回りで歩いていくと、登り坂となり、商店が並ぶ路地になりました。
二つに別れた道をツアー客達は左に行きましたが、私はカテドラルに沿うように右に向かいます。
小道をさらに曲がると突き当たりに大きな扉があります。
そこから観光客が出てきます。
私の前を歩いていた二人組が向かったのですが、引き返してきました。
どうやら出口のようです。
こんな入り組んだところに入口はつくらないか、と思いながら、さらに壁沿いの道を進みます。
男達がロープを引き長い布を、滑車を使い引き上げています。
どうやらこれから夏に向け、通りに日陰を作るため、布製の屋根を設置しているようです。
日差しの強いこの地では有り難いことです。
さらに進むとやっと入り口が見つかりました。
先程タクシーを降りた所から右に行けばすぐのところでした。
たくさんの団体客達に囲まれ、目に入っていませんでした。
全長120メートル幅59メートルの建物ですが、周囲に商店などもあるため、こうしてほぼ一周すると結構な距離がありました。
昨年の夏、ギリシャの遺跡でやはり入り口を間違え、歩き続けたことに比べれば大したことはありませんでしたが良い運動になりました。
中にはいると、その荘厳さはさらに目を奪われます。
ドイツやイギリス、フランスなどでも多くの大聖堂を見てきましたが、それらとはまた異なるデコラティブな装飾。
昔のスペイン人達が想像した天国とはこういうものであったのでしょうか。
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パイプオルガンや祭壇、マリア様や天使の立体飾りに眩い黄金。
長い長い年月を費やし、世代を越えて作り上げた職人達に敬意を表したくなります。
それと共に、金や銀、宝石など物凄い量の富が新大陸からスペインに持ち出され、それらがこの大聖堂にも費やされたのだと、歴史を振り替えざるをえませんでした。
大聖堂の中には溢れんばかりの力が漲った絵画が飾られています。
エルゴレコ!
ラフェロ!
カラバッチョ!
これらの大作をほぼ周りに人がいることなく、間近で一人じっと鑑賞できる。
大きな喜びであり、贅沢な一瞬です。
中庭に出ると、たくさんのオレンジが生っていました。
空を見上げ、一休み。
古い石造りの建物に囲まれた中に濃い緑の木々、その上には青い空が広がる。
この風景は何百年も変わらない物なのでしょう。
大聖堂を後にし、時計を見ると既に2:30。
遅めの昼食でも取りましょう。

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