ケンプトンパークから蒲焼そして帰国

月曜日、木曜日にフランスに発つ前に購入しておいた商品を回収しに、市内のショップを回ります。

その中でブレグジットの話題になりました。

 

彼らは

「イギリス人は強行離脱をして食料がスーパーに届かくなり、

医薬品が不足し病院や薬局で支障が発生し、

ドーバー海峡のトンネルで大渋滞が発生し、

自分たちの生活に多大な不便が感じられるようにならない限り、

離脱を取りやめることや、EUと話し合って打開点を見つけることはできない」

「ボリス・ジョンソンは議会でいくら延期が決定しているとはいえ、

EUに延期を要請しないだろう。

そのため、111日に強制離脱になるよ。」

「前首相がまとめたアイルランドと北アイルランドの国境問題が解決しない場合、

イギリスも一時的にEU内の関税同盟に残るという約束。

これを実行しそうもない」

と話していました。

 

私としてはロンドンを拠点にフランスなどヨーロッパを行き来するので、

商品を持って移動することが難しくなるため、そうした状況を危惧しています。

いちいち何度も国境で税金を払うようになるのでは、

昔々のシルクロード等を旅していた駱駝使いの商人みたいだと思ってしまいました。

いったいどうなるのか、しばらく予定を立てるのが難しいです。

 

火曜日、ケンプトンパーク競馬場でのアンティークフェアが開催されます。

 仲間の業者に乗せてもらい向かいます。

6時過ぎに到着すると朝靄がレース場を覆う中、空は濃紺からオレンジ色へと美しいグラデ―ションを帯びていました。

 

9月の初めだというのに携帯電話をみると、8度。

札幌と同じくらいの緯度だけあり、マフラーが早くも活躍してくれます。

開場までの待ち時間、紅茶とホットドックで体を温めます。

 

630分。

いつも通り、初出しの店に向かいます。

9月一週目と言うと、こちらのディーラーもまだ休んでいる人も多く、商品の動きも鈍いです。

そのため、例年この時期は日本人の業者も少なく、これまであまり見かけることはありませんでした。

しかし、一昨日、ホーティカルチュアルホールにも結構日本人ディーラーが来ていましたが、

この日もたくさんの日本人を見かけました。

珍しいなぁと思いながらも、

唯我独尊。

人は人と割り切り、自分のペースで仕入れを続けます。

 

また、例年よりも今年は動きが早いのかケンプトンパークに出店している業者もこの時期にもかからず、

多くの商品を揃えていました。

 

太陽が昇り、陽射しが眩しくなってきた頃、持ってきた資金も底をつきそうになってきました。

そろそろ引き上げ時でしょうか。

次回来る時期を皆に伝え、それでは駅に向かいましょう。

 

チケットを買おうとすると、クレジットカードを差し込むところに、「no available」。

こうした田舎の小規模な駅ではこうして券売機が壊れていることがイギリスでは良くあります。

現金でウィンブルドンまでのチケットを購入しているところに大先輩ご夫婦がいらっしゃったので、一緒に帰ることに。

いつもよりも一時間遅い電車でしたが、この日も電車は出発時刻よりも遅れてやってきました。

「なんだか、以前にもあったのだけれども遅れていたのでウィンブルドンを通り越しそうだね。」と話していたところ、

やはり電車はウィンブルドン駅を通過。

途中話し込んでいて放送に耳を傾けていなかったのか、うっかりしていました。

こちらの電車は遅れが生じると停車駅を途中で変更することが多々あります。

仕方なく終点のウォータールー駅まで乗車し、駅員に事情を説明し、改札から出してもらうことになりました。

 

地下鉄で私は現地のお世話になっている日本人の所に寄ることにし、先輩たちとは途中で別れ向かいました。

忙しい方なので、お昼をご一緒させていただき、お話を聞くことに。

行きつけの日本食屋さんに連れて行ってもらうことなりました。

スタッフはほとんど日本人がいないにも関わらず、多くは日本語を話せます。

彼が店に入ると、皆「こんにちは、いらっしゃいませ」

と挨拶をしてきます。

注文時になり、

「ここのサバの仕置き焼きは美味しいんだよ。石井君は、何にする?」

と尋ねられ

「同じので」

と。

応えたのですが

出てきたのは、鰻の蒲焼!

“同じので”が‟ウナギ“に聞こえてしまったようです。

これからサバを作るという
のですが、それも悪いし、鰻ももったいない。

思いもかけずロンドンで鰻の蒲焼を始めていただくことになりました。

お重の蓋を開けると、二枚に開いた鰻が折り重なるように重箱いっぱいに入っています。

かなり太く大きい鰻のようです。

箸で分け食べようとしたのですが、肉厚の上なかなか粘りがあるような鰻で指先に力を入れないと切り分けできません。

それでもロンドンでいただく鰻とはこれまた贅沢なお昼ご飯です。

 

イーストロンドンなどでは昔から鰻は郷土料理として食べられてきました。

そのため、こちらで採れた鰻なのではと思います。

中華料理屋などでもロンドンでは鰻を使ったメニューはよく見かけます。

やはり鰻は蒲焼が一番です。

ボリュームが大変あり、食べ終わるころには胃袋の中が太い鰻でいっぱいになっていました。

ご馳走になってしまったため、料金はいくらだったのかは分かりませんが、きっと結構高かったのではと思い、恐縮でした。

豪華な昼食を終え、ホテルに戻りました。

 

翌日にはホテルをチェックアウトし日本に帰国するため、ケンプトンパークで仕入れた品の仕分けと書類作成。荷物のパッキングを済ませなければなりません。

午後2時前にはホテルに帰ってきたのですが、結局すべて終えるのに6時間もかかってしまいました。

スーツケースを持ち上げてみると、

「うーん、重い」

「ぎりぎり32キロ」

これまでの感覚で何となく重さが解ります。

ヒースロー空港では空港内で働く労働者との契約で32キロ以上の荷物は受けつけないことになっていると以前、航空会社のカウンターで伝えられたことがあります。

その時購入していた石像自体が32キロ以上あり、スーツケースの重さをいくら減らそうとしてもそれ以下にならなかったことがあります。

その時、言われたのが、

「ご自分で荷物を裏まで持って行ってください。」

と。

そこで、皆さんが良く空港で目にする荷物がベルトコンベアーに乗せられ吸い込まれていくあの扉の裏に自分で荷物を運ぶことになったのです。

それで最後に荷物の重さを測るような計測器があり、そこに自分で乗せたのでした。

その際係員の男性は普通に笑顔で「自分で乗っけて」と話していたのが印象に残っています。

 

今回は恐らく32キロ以内の収まっているでしょうが、少しオーバーしたらちょっと抜けば問題ないでしょう。

 

午後8時からは大先輩と「ロンドン最後の晩餐」を楽しむことに。

イタリア料理とビールとワインを楽しみ。

夜は更けていきました。

溜まっていた疲れが酔いで出て来たのか、体もだるくなり、部屋に戻りました。

そこでメールをチェックすると娘の学校から連絡が入っています。

台風の影響で休校にするか遅れて通学をするか午前8時過ぎに改めて連絡するとのこと。

時差の関係でロンドンでは午前0時過ぎ。

それまで起きて待っていなくてはなりません。

こちらに来ると時差のためと早朝から骨董市にいくため、どうしても早寝早起きになります。

0時まで起きているのは結構つらい物です。

眠りに落ちそうになる中、何とか堪えて12時過ぎにメールを受け取り家に電話し

「学校あるってよ」

と告げると、

「友達からラインが来て知っているから」

との返事。

「そうですか。」

と電話を切って眠りに落ちました。

 

翌日は鑑定を済ませるだけかと朝起きると。

全日空からメールが入っています。

「ん、、、」

読んでみると出発が4時間遅れて夜の23時になるとのこと。

そうすると日本に着くのも4時間遅くなり、夜20時過ぎになってしまいます。

どっと疲れが溢れてきました。

商売でこちらには来ているため羽田空港で通関しなくてはなりません。

これに時間を要します。

観光の時のようにはゲートを出てすぐに家に帰ることは出来ません。

家に帰るのは夜中になるだろう。

さらに出発が遅れたら、帰れないなぁ。

とがっくり。

 

以前、パイロットが3時間以上遅刻し、出発が遅れたことがありました。

まぁ仕方がないことです。

「日本に連絡をし、パパ家に帰るの夜中になると思うから」

「ああ、そう。だから?」とつれない応えが返ってきました。

 

結局、昨夜行ったイタリアン料理屋を訪れ、酔わない程度に昼食も兼ねた早めの夕食を採ることにしました。

そこでもこの日、大先輩にいろいろとジュエリーに関しお話を伺うことができました。

4時間の遅延があったお陰で却って素晴らしいジュエリーの見識を伺うことができました。

貴重な時間を得ることができ幸運でした。

人間万事塞翁が馬。

私は良くこの故事成語を思い浮かべますが、ふっと思いもかけない良き出会いや時は訪れるものです。

空港に行くと顔馴染みのスタッフが迎えてくれます。

アモイ出身の彼女は、最近の香港情勢について非常に憂いていました。 

スーツケースを測ると31.7キロ。

32キロ以内に無事収まっていました。

雲の彼方に富士山が覗きます。

日本に戻ってきたのを感じる光景です。

飛行機はいつものように出発時に離陸の順番待ちで長く待つこともなく、すぐに飛び立ったことや気流に恵まれたためでしょう。

結局4時間ではなく3時間程遅れで羽田空港に到着。

通関手続きもスムーズに終え、2230分には自宅に到着。

塾があっため、遅い夕食を採っていた娘の食卓にも間に合いました。

 

昨年の同じ時期に仕入れに行った時よりも5割増しの点数を仕入れることができました。

忙しかったですが、良き仕入れになったと思います。

 

最期にロンドンの地下鉄で面白い広告を見つけました。

今、ちょうど日本で開催されているラグビーワールドカップの宣伝ポスター。

イギリスから見た日本はこんな感じのイメージなのでしょう。


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