アルゼンチン レストランでの出会い

行きつけのタイ料理屋に行こうかとサウスケンジントン駅でおり、念のため電話すると珍しくこの日は満席。
そこでグーグルで検索すると近くにアルゼンチンレストランを発見。
アルゼンチンレストランなんて今まで一度も行った経験がなかったので試してみようかと向かいます。
駅から、2.3分ほどですぐに見つかり、覗き込むと何だか老舗のようです。
木材をふんだんに使った内装は牧場のような雰囲気が出ています。
また、年月を重ねて来て醸し出されている空気感は長年この店が愛され継続していることを示すものでしょう。
中に入ると6時前にも関わらず、すでに家族連れやカップルで半分くらいは席が埋まっています。
二人がけのテーブルは入り口と一番奥の二箇所が空いており、奥のテーブルに座ることにします。
それではメニューを見てみましょう。
牛肉か鶏肉か野菜かなどは分かりますが、後は何だかよく分かりません。
私の横にはどっぷりとしたおばさんが若い店員に時折、指図をしながら計算機を片手にノートを見ています。
その貫禄からすると店主なのでしょう。
メニューの質問をすると、お勧めはブラジル料理でもあるような串焼きだと言います。
それではその串焼きの牛肉と野菜のミックスを一つと餃子のような前菜も頼むことにしましょう。
ドリンクは一度も飲んだことのないアルゼンチンのビールをいただきましょう。
肉の加減を尋ねられたので、ミディアムにしときます。
まずはすぐに出されたビールを飲んでみます。
{FFFA72C5-321B-48D3-A386-DFEAD5A913E8}
ん〜〜…
味がない。
これまで世界各地のビールを飲んできましたが、その中でも特別の薄味。
例えれば冷えた少し苦い炭酸の弱い水。
韓国のハイトも薄いですが、それよりも更に薄味です。
ビールは諦め、ワインを飲むことにします。
あまり日本では見かけないアルゼンチンの白ワインを注文してみます。
やはり白は微妙な味の気も、アルゼンチンはやはらマルベックなどの赤でしょうか。
エンパナーダ!
この揚げ餃子のような形の代物は、私の想像よりも遥かに大きい物が運ばれてきました。
{AABD3B8D-355C-4592-9399-15E157822339}
餃子というよりもパイ包みに近いものです。
小麦粉の生地は香ばしく、中にはほうれん草とチーズの具が入っています。
南米の料理というと大味を想像していたのが、見事に予想を裏切られる美味しいものです。
気付くと隣のおばさんもワインを手にしています。
仕事がひと段落したのでしょうか。
お酒が入ると自然に話が始まりました。
どうやらこの方、店主ではないのです。
それにしては偉そうだと思っていると、
彼女は会計士だそうで、この店もみているそうです。
また、サーブしてくれる店員達に簡単なスペイン語で話しかけても全く反応がないと思っていたところ、二人はポーランド出身だそうです。
イギリスのレストランやホテルなどサービス業ではポーランド人が特に多いので納得です。
会計士の彼女はスペイン語を解しますが、アルゼンチン出身ではなく、カナリア諸島の出身だそうです。
カナリア諸島では仕事が無く、イギリスなどに働きに出る人が多いとのことです。
その一方温暖で太陽に恵まれたカナリア諸島には夏でもこんなに涼しく陽に恵まれないイギリスから多くの人が訪れ、中には住み着く人も結構いるそうです。
しかし彼女曰く何年も住んでいるのに全くスペイン語を学ぼうとせず、英語しか話さない人も多いとの事です。
確かに今では英語は世界中で通じるからなぁ〜〜…
その他豊かな自然に恵まれたカナリア諸島の魅力をいろいろと伝えてくれます。
『ロンドンから直行便で4時間、300ポンドくらいで(日本円で4、5万円)で往復できるので、今度はカナリア諸島を是非旅して』
と。
そんな話をしている中、メインの串焼きチュラスコの登場!
{A9C5E876-C956-4D97-B564-9246317D10B2}
{3295E18E-A58F-49C3-A0BB-147A50197A61}
炭火の香ばしさが肉や野菜に香り付けされ、美味い!
しかし、ミディアムと注文したものの、中は完全なレアー胃袋の丈夫な欧米人には問題ないのでしょうが胃腸の弱い私は後が大変かもしれません。
それでも周りがカラッと焼かれ中は柔らかく肉汁がたっぷりと口に溢れてきます。
チュラスコを食べ終えてしまったが、
友人が頼んだ鶏肉のローストがこないのできいてみると、どうやら注文が通ってない。
『至急作って』
と、カナリア諸島の彼女がまくし立ててくれています。
経営者のおじさんもやってきました。
アルゼンチン出身の彼はここで15年くらいやっているそうです。
ワインを飲みながら鶏肉を待っていたところ、もう一方の隣の席にいたカップルは去り、そこに若者達の集団が入ってきました。
メニューをみていた彼等にカナリア諸島の彼女が何か話しています。
すると6人程いたうちのは大半は席を立って店から出ていってしまいました。
二人だけが隣の席に残っています。
彼女に尋ねると、彼等は学生で彼等には料金が高いから帰ったんだと言います。
なるほど…
『どこから来たんだ?おれは日本からだよ』
と話かけると、
『アルゼンチン』
『アルゼンチンのどこだい?』
『ブエノスアイレス』
『そうかぁ〜、ところでイギリスには旅行かい?』
『サマースクールなんですよ,2ヶ月ほどの日程で来ているんですよ』
『へー、英語もうまいし、幾つなんだい?』
『15歳』
思いもかけない応えです!
18歳くらいかと想像していました。
『おじさんにも、13歳の娘がいるんだけど、とても一学年違いとは思えないよ』
皆で話している中、鶏肉が運ばれてきました。
付け合わせにサラダと伝えてあったのですが、またもやポテトが一緒に。
だが、まだ何も運ばれてこない彼等に分けるのに丁度良い!
『どうぞ、食べてよ。』
と差し出すと
喜んで受け取ってくれ、早速、口に頬張っています。
食べ盛りの歳頃、私の娘もよく食べます。
男なのだから尚更お腹も空くことでしょう。
彼等のテーブルにものカツレツのようなお皿が一つ運ばれてきました。
『さっきのお礼に!試しに食べてみてよ。』
と私達にも分けてくれます。
15歳にしてジェントルマン!
きっと育ちがいいのだろうと感心させられます。
ところで、もう一人の彼は先ほどのポテトを食べながらコーラを飲んでいます。
なかなか彼のところには運ばれてきません。
『僕らの注文も通ってなくてなかなかこなかったんだよ。なかなかこないね。』
と言うと。
『いや、僕はコーラだけで』
どうやらせっかく母国の味を食べたいとアルゼンチンレストランに入ったものの、子供達には高いからと、仲間は帰ったけれど、カツレツを注文した彼は残り、一人残すのは悪いと幼馴染の友人は残ったとのことでした。
また、寮の自由時間に抜け出してきたので、あまり時間もないのでここに残ることにしたのだと。
少し前に注文したデザートのプリンが待たされることもなく運ばれてきました。
肉は時間がかかるがデザートならばすぐ出来るだろうと判断し、彼の分も注文します。
カツレツの彼には
『君もコーラを飲みな』
と渡します。
{DA010410-280F-4F99-9422-DFB89C537654}
こうして改めて写真でみるとまだまだあどけなさが残る爽やかな少年たちでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Scroll to top