18時20分。
リスボンに到着。
21年前の学生時代に来た時とは、随分と空港の雰囲気も変わり、真新しくなっています。
それでも、空港はそれほど大きくもなく、19時過ぎにはタクシーに乗り込んでいました。
リスボンはロンドンに比べ、はるかにタクシー料金が安いと聞いていたので、
空港からタクシーでホテルに向かいます。
市内までは驚くほど近く、ホテルまで15分ほどで到着。
東京とは都市の規模が違うこともありますが、これだけ近いと本当に便利です。
チェックインを済ませ、部屋に荷物を置きます。
窓の外には綺麗な夕日が広がっていました。
ロンドンはまだ冬でしたが、
ここはもうこんなにも日が長く、ロンドンや東京の5月頃のようです。
とりあえず、食事を取りにホテルの近くを散策してみます。
先ほど、タクシーに乗っている際に、宝飾品や銀器が飾られているお店が目に入りました。
少し気になったので、その店を探してみようかと、探索してみます。
坂を下りていくと、やっぱりありました。
その上、まだ営業しています。ラッキー!
ベルを押し扉を開けてもらいます。
外のウィンドーに飾られているジュエリーを手に取って見せてもらいます。
「んんんんん~」
「少し臭う」
聖母をモチーフとした白蝶貝のカメオがあります。
フレームは金とダイアモンドの枠。
だけれども、彫が甘く、顔がのっぺらとしています。
「うーん、」
他の物も手に取ってみていきます。
「どこか作りが甘い。」
ルーペでさらに確認します。
アールデコのデザインの物や、19世紀のデザインのものもあるのですが、どこか甘い。
「これはいつ頃のものだ?」
と尋ねると、
「1920年代頃かな」
「これは?」
「1950~70年くらいかな」
と店主。
「んー、」これが良く耳にするポルトガル製のリプロダクションかと思えてきました。
しかし、店構えや他に扱っている銀器などをみると、
アンティーク屋のようです。
銀器はイギリスの物とは違ったデコラティブな古典的な趣味の物。
例えば、ポットの足やサーバーの柄が鳥脚になっているものなどが目につきます。
銀器の値段も聞いてみましたが、日本で販売している価格と変わりません。
それに対し、ジュエリーは何だか相場よりも安く感じます。
店には金や銀の重さを量るための天秤などもあります。
質屋のように買取をしていることは確かな気がします。
そのため、この並べられたジュエリーもたしかに今の物ではないのでしょうが、
私が見たところ、10から30年くらい前に古いスタイルで作られた物、当時のリプロダクションなのではと思います。
「んーこれが有名なポルトガルのリプロダクションかぁ?」
イギリスにも多くのポルトガル製のリプロダクションのジュエリーが入ってきていると聞いたことがあります。
なんだか引っかかるものがあったので、価格まで聞いたのですが、購入は控えることにしました。
店を出て、冷静になると、値段に負けて、目がくらみそうであったと気づきました。
特に海外の新たな地で物を見つけると、ついそれが本物に見えてしまうことがあります。
しかし、間をおいてルーペでしっかり見てみると、今まで養ってきた眼が、
「それはやめておけ」
と告げてくるのです。
イタリアやチェコ、スペイン、ドイツ、トルコ、香港などでも同じ臭いを嗅いだ、つまり、同じ感覚を味わったことがありました。
もちろん、中には掘り出し物が眠っていることもあるので、それを見つけ出すのがまた楽しいですが。
その後、グーグルマップに載っていたホテル周辺にあるバーやレストランを散策してみたのですが、
どこも魅かれる店はなかったので、ホテルに戻りました。
ホテルのバーに入ると、意外にも感じが良く、
その上、海外では珍しいタコもあったので、タコのマリネを片手にポートワインを数杯楽しみました。
このホテル古い鉄工所をリノベーションし、ホテルに改築したものだそうです。
変わったデザインで所々、鉄工所の跡を残しています。
部屋もシンプルですが落ち着いた過ごし易い空間でした。