パリの朝は、やはり爽快です。
ロンドンよりも高い空がそこには広がっています。
いつも仕入れにヨーロッパに来る時には体調を崩した時に備え、インスタント食品を持ってきています。
今回の仕入れもあと二日。
体の調子を崩れることもなさそうです。
そのため、朝は残っていたカロリーメイトとみそ汁でお腹を満たします。
ロンドンから持ってきたバックパックの中には朝食に洗面道具、着替え、ルーペが入っていました。
なるべく身軽にし、移動するため、最低限の物だけを持ってきました。
前日は使い古した下着や靴下を身に着けてきたので、それらはゴミ箱にさようなら。
ルーペをポケットにしまい、カバンの中は洗面道具だけとなりました。
よし、まずはバンブーの骨董市に行きましょう。
地下鉄「Porte de Vanves」で下車。
2,3分歩くと
明るい朝日に照らされた中、通りをずっと埋め尽くす雑多な山々、たくさんのスタンドが並んでいます。
それ誰が買うの?と思うような古着や使い古された靴。
携帯電話などの電化製品。
その中に、ヴィンテージ雑貨なども並びます。
古い絵葉書、レース、ボタン、レトロな看板、陶器、ガラス、琺瑯の器、アクセサリー等々。
久し振りに訪れたバンブーでしたが、活気は変わらずあり、多くの人でにぎわっています。
ですが、やはり、ピリッとしたジュエリーや工芸品はそう並んでいませんでした。
きっと、紛れてそうした物もたまには出るのでしょうが、今回もそうした逸品との巡り会わせには恵まれなかったようです。
土曜日と日曜日の午前中に開かれるバンブー。
これからもパリの雑多な市場は続いていくのでしょう。
では、そろそろ本番のクリニャンクールに向かいましょう。
かつてと違いクリニャンクールも開かれる時間が遅くなってきています。
特に、日曜日は開くのも遅く、お店によっては11時くらいにならないと開かないディーラーもいます。
多くは10時くらいから次第にシャッターを開けていきます。
もう何度もクリニャンクールには来ているので、行く店は決まっています。
それぞれの店主が来る時間も大凡わかっているので、それに合わせて回りましょう。
(なぜか、昔からUFOが飾られているんですよね。)
まずは、工芸品のお店。
ガレやドーム、ラリックなどを扱うお店にいきましょう。
普通、まず値段を聞くと、かなり高い値段を言われます。
けれど、もうすでに顔馴染みなので、こちらも指値を出すと、それに近い値段で譲ってくれます。
フランス人ディーラーはイギリス人やイタリア人、ドイツ人に比べ、プライドが高く値段交渉
の難しい人たちも多く出会います。
そのため、私たちディーラーが扱う値段で譲ってくれる店はこのクリニャンクールの中でも限られています。
店によって値段が大きく異なるのです。
限られている時間とお金を有効に使うため、行きつけの店を目指します。
次に、ジュエラーのところへ、おおーちょうど、シャッターをガラガラと音をたてながら上げるところです。
ナイスタイミング。
全く英語を話さない年配の人なので、私も昔、西アフリカで使っていたフランス語を思い出しながら、やり取りをしていきます。
やはり、バンブーでは見かけなかったピリリとした逸品が並んでいます。
どれもこれも買い付けたくなる衝動を抑えて、作りの良さと、傷がないこと、値段が仕入れに見合うかどうか、厳しく、判断していきます。
仕入れも終盤になると、前半に比べ、値段に厳しくなってきますね。
アールデコのプラチナワーク。
極小のミル打ちと透かしの精確さが光ります。
フィリグリーのゴールドチェーン。
手で金線を編み蝋付けしていく技法。
均一にロングチェーンのパーツをいくつも作っていく職人の技術と根気に脱帽します。
ここで、持ってきたユーロのキャッシュは使い果たしてしまいました。
今回はどこに行っても豊漁です。
次に工芸品の店に行き、これまた片言のフランス語と片言の英語、プラス笑顔で意思の疎通をいつも通りとっていきます。
美しい花器を購入。
星々が煌めく夜空がそこには広がているようです。
今回はクレジットカードも使い過ぎてしまい、普段使っているカードが通りません。
仕方なく予備で持ってきたカードで切ることに。
こちらの口座にも帰国したらお金を入れておかなければならないなぁ。
買えないのも辛いですが、買い過ぎてしまうのもまた辛い。
嬉しいような、辛いような。
それが買い付けです。さぁ、無事にお宝たちを仕入れることができました。
次はもう一つの目的地に向かいましょう!